SONY WF-1000XM3 BOSE QC30 ノイズキャンセリングイヤホン比較レビュー

2019年7月SONYから左右分離の完全独立型ワイヤレスイヤホン「WF-1000XM3」が発売されました。SONYのイヤホンのラインナップではハイエンドにあたるモデルです。

前モデル「WF-1000X」出典:sony.jp

2017年10月に発売されたSONY初の完全独立型イヤホン「WF-1000X」の後継にあたります。 WF-1000Xは発売時、業界最高クラスのノイズキャンセリング性能という触れ込みで大いに話題を集めましたが、接続安定性の悪さ、ノイキャン性能の低さなどで散々な評価を受けた駄作になってしまいました。音だけは良かったんですけどね。

出典:sony.jp

そしてWF-1000XM3も業界最高クラスノイキャン、どこかで覚えのあるような感じで登場しました。業界最高というキャッチコピーにはもう騙されませんよと思いつつ、ノイズキャンセリングといえばソニーという期待を込めて今回も試してみました。
WF-1000Xと同様ならすぐ使うのをやめようと思っていましたが、予想を裏切る出来。
約一カ月使用したレビューを紹介します。

ノイキャンだからという理由でWF-1000XM3に興味を持っている人も多いでしょう。ノイズキャンセリングイヤホンの業界最高クラス(こちらは間違いなく)BOSE QUIETCONTROL30(QC30)と旧モデルWF-1000Xを比較しながらレビューしていきます。
QC30 からの乗り換えを検討してる人も参考にしていただけるとうれしいです。

ここからは、SONY WF-1000XM3を「1000XM3」、WF-1000Xを「1000X」、BOSE QUIETCONTROL30を略して「QC30」と呼ぶことにします。

基本スペック

WF-1000XM3

SONY WF-1000XM3
接続:ワイヤレス
装着タイプ:左右分離独立型
バッテリー持続時間: 最大6時間
重量:約8.5g × 2

オープン価格
ソニーストア価格:25,880円(税別)

WF-1000Xの後継モデル。ハイレゾ級の音と業界最高クラスノイキャン。


出典:sony.jp

WF-1000X

SONY WF-1000X
接続:ワイヤレス
装着タイプ:左右分離独立型
バッテリー持続時間: 最大3時間
重量:約6.8g × 2

オープン価格

SONY初の左右独立型イヤホンとして登場。音もノイキャンもソニーいわく業界最高クラスのハイエンドモデル。


出典:sony.jp

QC30

BOSE QuietControl 30 wireless headphones
接続:ワイヤレス
装着タイプ:ネックバンド
バッテリー持続時間: 最長10時間
重量:28.4g

価格:32,000円(税別)

ノイキャンではSONYと並びトップクラスの性能を誇るのがBOSE。BOSEの現行のイヤホンで唯一のノイキャン付き。ライバルは同じネックバンドタイプのSONY WI-1000XですがBOSEには左右完全分離ノイキャンイヤホンが発売されていないため、QC30で比較します。


出典:bose.com

外観

1000Xと比べるとデザインは落ち着き、ハイエンドらしく高級感漂う雰囲気になっています。
質感もピカピカだった表面がマットになり、スポーティな流線形の形からバランスのよいオーソドックスな形状へと変わりました。

残念なのは筐体サイズが大きくなり、重量も6.8gから8.5gに増えている点です。他のメーカーのワイヤレスイヤホンと比べてもやや大きい部類です。

充電ケースはメインの素材が金属からゴム素材に変わっています。これは好みが大きく分かれるでしょうね。
形状は横長から正方形に近くなり、一見小さいなったように見えますが、厚みは前よりも増しています。体積的にはそれほど小さくなっていないませんが、収納するにはこの形のほうがよいと思います。一般的なイヤホンの充電ケースより一回りは大きいです。

充電ケースは1000Xの場合、フタを開けるときやや引っ張って閉めるときは押し込むような感じでしたが、1000XM3はカチッと磁石でくっ付くようになりました。
イヤホン本体の収納もフタと同様で1000Xは押し込む必要がありましたが、 1000XM3はおよその位置を合わせるだけで磁石でくっ付いてくれます。
充電ケースの使い心地が向上しています。

音の良さ

1000XM3の音は、よほどこだわりのある人を除けば誰が聴いても良いと言うでしょう。
SONYのハイエンドイヤホンの音は本当に安定感があります。商品のコピーは音が「ハイレゾ級高音質」で、ノイキャンが「業界最高クラス」ですが、むしろ音が業界最高クラスですね。
QC30と比較すると特に高音域に違いが出ます。音に関しては正直好みの問題が大きいのでそこは深く突っ込みません。

WF-1000XM3にはハイブリット(シリコン)とトリプルコンフォート(スポンジのような)の2つの素材の違うイヤーピースが付属しています。イヤーピースを変えると耳へのフィット感が変わるだけでなく、音質もかなり変わります。

WF-1000XM3の長所はアプリのイコライザーの設定で好みの音に調整できる点です。使用するアプリはSONYのイヤホンユーザーにはお馴染みのアプリ「Headphones Connect」です。イヤホンによって使用できる機能に違いはありますが、使い方は同じで覚える必要がないのもいいですね。
前作ではイコライザーはプリセットから選ぶだけでしたが、自分好みにカスタマイズして登録できるように進化し、その他にも下記の画像のように自動電源オフなどアプリで設定できる項目が増えています。QC30ではこういった設定はできません。

「Headphones Connect」設定一覧

音の良さは効く音楽のジャンルや好みの音質もあるので、どちらがいいと一概に言えませんが、アプリで細かい設定ができたり、イヤーピースは汎用タイプなので他社製の好みのものに変更できる点で音にこだわる人に向いているのはWF-1000XM3です。

ノイズキャンセリング性能

1000XM3のキャッチコピー「業界最高クラスノイキャン」は今回は正しいのか。気になる点ですが、答えは少し考えつつイエスです。
左右完全独立タイプなら最高クラスと言ってもいいでしょう。QC30は左右完全独立タイプではありません。
そして正確には自分の耳にぴったりとフィットするイヤーピースを正しい状態でつけた状態なら最高クラスという感じです。つまりイヤーピース次第です。
付属品のイヤーピースは合計で7つ付いていますが、ノイキャンが効いてるとわかるのは3つで、耳にあまりフィットしない残りの4つは、ほとんど周囲の騒音を低減することはできませんでした。
わたしの場合、ノイキャンが業界最高クラスに達していると感じたのは、ハイブリットタイプのLサイズを装着した時のみでしたが、これは人によって変わります。トリプルコンフォートイヤーピースのほうがノイキャンが効くという人のほうが多数です。

ノイキャンの効きが悪いという方は、イヤーピースのサイズと装着方法を変えてみてください。下の画像のお姉さんのようにイヤホンが横に水平に近い角度になるように少し回転させながら耳に押し込むのがいいでしょう。

出典:sony.jp

QC30の場合はイヤーピースのフィット感とノイキャンの効きが、1000XM3ほどシビアには関係しません。

その他の点として、野外での使用の際に風が強いと1000XM3は風切りを拾い、それが「ザーッ」という不快なノイズになります。
この風切り音の防止のため、「風ノイズ低減」モードをアプリで設定できます。
ただし、このモードにするとノイキャンの効果はほとんどなくります。
イヤホンの筐体サイズが大きいのが原因で、QC30とイヤーピースを外して比較するとその大きさの違いがわかると思います。

イヤーピースを外した状態

QC30とノイキャン性能を比較すると両モデルで一番フィットしたイヤーピースを付けた状態で、ややQC30のほうが上回ります。
ノイキャン性能は別記事で消音実験で詳しく比較をご紹介していますので、興味のある方はご覧ください。
1000Xとは明らかに違いがわかるほど性能は上がっています。

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使いやすさ

操作的な違いはタップ(1000XM3 )かボタン(QC30)かです。

1000XM3は音量の調節を接続先のデバイスから操作することになります。
1000XM3 は、本体とスマホなどのデバイスを行き来しながら操作を行います。

いっぽうQC30の操作は直観的。従来の有線タイプのイヤホンの操作とあまり変わりません。本体コントローラーのボタンを押して、音量の調節もできますし、通常使用するほぼ全ての操作を行うことができます。

BOSEの左右独立タイプのイヤホンSOUNDSPORT FREEは、本体に音量ボタンがありますし、メーカーの傾向かもしれませんが、個人的には本体のボタンで全て操作できるほうが好みなので、使いやすさではQC30のほうが上です。

装着感

1000XM3のイヤーピースは ハイブリット(シリコン)とトリプルコンフォート(スポンジのような)の素材の異なる2種類、計7サイズが付属しています。形状はカナル型で耳の奥深くに挿すタイプです。

QC30はシリコン製のQC30専用のイヤーピースが3サイズ付属しています。カナル型ですが、1000XM3のように耳の奥に深く挿すタイプと違い、傘の厚みが薄く耳の穴に軽く被せるようなタイプです。

イヤピースの傘の形状に大きな違い

両者ともイヤーピース自体にパッシブ・ノイズキャンセリング効果のある遮音性の高い素材で耳にぴったりと収まります。

1000XM3の場合、ノイキャン性能を重視し、耳にぴったりフィットするイヤーピースをつけるとやや圧迫感を感じます。QC30は圧迫感が少ないのが装着感の違いです。

短時間での使用では、それほど違いはないかもしれませんが、長時間つける場合は、1000XM3は耳が痛くなったり、夏場や運動しながらだと蒸れたり、かゆくなったりする可能性が高いです。
わたしの場合、長い時には5時間くらい連続で装着してる時がありますが緩めのサイズじゃないと1000XM3は耳が少し痛くなります。

1000XM3の場合、ノイキャン性能も装着感もイヤーピースの影響が大きいので、付属品の中に自分にあったイヤーピースがない場合は、社外品のイヤピースの購入を検討してください。

バッテリーの持ち

1000XM3は設定によっても違いますが下記の表の通り、よく使う設定で最大6時間です。青背景の設定はiPhoneなどスマートフォンで使用するときのコーデック、DSEE HXオフ設定での数値が6時間です。
QC30は最大10時間というのが一回の充電で連続使用できるカタログ値です。

WF-1000XM3 連続音楽再生

コーデック DSEE HX ノイズキャンセリング機能/外音取り込み機能(アンビエントサウンドモード) 使用可能時間
AAC AUTO ノイズキャンセリング機能:オン 最大3時間
外音取り込み機能:オン 最大3時間
オフ 最大4時間
オフ ノイズキャンセリング機能:オン 最大6時間
外音取り込み機能:オン 最大6時間
オフ 最大8時間
SBC AUTO ノイズキャンセリング機能:オン 最大3時間
外音取り込み機能:オン 最大3時間
オフ 最大3.5時間
オフ ノイズキャンセリング機能:オン 最大5.5時間
外音取り込み機能:オン 最大5.5時間
オフ 最大7.5時間

※iPhoneで使用する場合、青背景の設定で最大6時間

1000XM3の実際の使用時間を上記の表の青背景の設定でiPhoneで測ったところ、環境の安定している室内の使用で平均4時間半でした。何度やっても5時間に届きません。野外ならもっと短いと思います。

QC30は1年半以上使った状態で多少バッテリーも劣化してるような気がしますが、ほぼカタログ値通り10時間と7分連続使用できました。

1000XM3はカタログ値より短いのが気になりますが、他の人のレビューを見ても、このくらいの時間です。1000Xはカタログ値3時間のところ実測2時間くらいだったので、倍に改善したと言えるでしょう。
他の左右分離イヤホンをみると第2世代AirPodsもそうですがカタログ値が5時間くらいが平均なので実測4時間半であれば、まずまずと言えます。

QC30の10時間は優秀です。 カタログ値通り連続使用できるモデルはなかなかありません。

しかし、QC30に限らず、ネックバンドタイプの 連続使用時間の長さはバンド部分に容量の大きいバッテリーを置くことができるためで、左右独立タイプと同等に比較できないことも付け加えておきます。

その他に気になった点

完全独立型の解放感は魅力ですが、落下の心配があります。長時間つけていると緩んで何かの弾みで落としてしまうことがあります。1000XM3は耳によくフィットするので、そう簡単に落とすことはありませんが、取り外したときに手から滑り落ちるなんてこともあるので、年に何回かは覚悟したほうがいいと思います。
こんな時に便利なのがアクセサリーのネックストラップです。同じ完全独立型のAirPodsにはサードパーティ製のネックストラップが多く販売されています。
しかし1000XM3用のネックストラップは見つかりませんでした。イヤホンの形状が丸形でサイズも大きいのが関係しているのかもしれません。
ネックストラップをわずらわしいと感じる人には関係ないことですが、個人的にちょっと気になった点です。

まとめ

1000XM3を一カ月使ってみて、「現時点で最高の左右分離ノイキャンイヤホン」と評価します。

QC30と比較すると一長一短があり、どちらがいいとは言えません。

使用するシーンで比較すると使用時間が短時間、移動中などの場面なら1000XM3がいいと思いますが、室内で長時間使用する場合はゆったりとした装着感のQC30しか使用したくありません。

野外での使用では違いはわかりづらいものがありますが、ノイキャン性能重視なら1000XM3は風切り音がノイズになるので、風の強い日や自転車など強い風を受けながら走る人はノイキャンをオフにすることになります。QC30はそういったことはありません。また室内の静かな場所であればQC30のほうが周囲の音を軽減する力は上だと思います。
周囲の音をとにかく消したいと思っている人にはQC30がおすすめです。
音にこだわる人で、ノイキャンは音楽をキレイに聴くための補助機能と考える人には、1000XM3がおすすめです。

前作のWF-1000Xと比較しても弱点だったノイキャン性能の低さ、手の平でイヤホンを覆うと切れるくらいの接続安定性の悪さ、バッテリーのもちの悪さなどが、ことごとく改善されているため、なかなかマイナス部分を見つけるのが難しい完成度の高いモデルに進化しています。外観もより洗練され、WF-1000Xがチープに見えるほどかっこよくなっています。
重箱の隅をつつくように粗を探せば、充電ケースが大きいとか、筐体サイズが大きいとか、切れないといっても、野外の人込みだとたまに接続が切れるなんて部分もありますが、あとは好みの問題かなぁというところまで来た感じがします。

1000Xのフォローをしておくとイマイチなモデルなのは否めませんがオープン価格ということもあり、発売当初の半額以下の1万円少々で新品を購入することが可能になっています。この価格ならあえて旧モデルの1000Xを購入してみるのもありかもしれません。
室内で音楽を聴くのがメインであれば、接続の悪さは気になりませんし、ノイキャン性能が悪いといっても、もともと静かな場所で音楽を聴くのであれば、それほど違いはわかりません。音はいいです。

1000XM3は、しばらく左右分離のノイキャンイヤホンのジャンルでは最強の座に就いていることが予想されます。
この座から引きずり下されるとすれば、QC30の後継機が左右分離になって登場する2020年まで待つことになるでしょう。

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