ネギトロはなぜ安いのか。本物のネギトロと添加物を考察

ネギトロはネギトロ丼をはじめ、軍艦巻きや手巻き寿司のネタとしても人気です。楽天やヤフーショッピングなどのネット通販でも魚貝カテゴリの1位、2位を争う人気商品になっています。その理由はズバリ安さです。
ネット通販の相場ではネギトロ100gが2袋で送料込み1,000円です。100gは丼ぶりのご飯に乗せてちょうど一人前くらいの分量です。送料込みでこの価格はかなり安いと言っていいでしょう。
冷凍便は通常の宅配便より送料が割高で法人契約でも600~700円以上はかかります。仮に送料が600円ならネギトロ100g2袋の実質価格は400円です。販売価格1,000円の中には送料以外にも楽天やヤフーショッピングに払う手数料やクレジットカードの手数料、人件費など様々なコストが含まれます。そこから利益を出すとなると一体、原価はいくらなんだという疑問が沸いてきます。
ネギトロはなぜ安いのでしょう。安いマグロを使っているのか、混ぜ物がたくさん含まれているのか、添加物たっぷりなのか、いろいろ心配になります。
ネット通販やスーパーなどで購入する普段わたしたちがよく口にするネギトロについて考察してみました。

そもそもネギトロとは

ネギトロについての知識をつけておきましょう。ネギトロとは本来マグロの中落ち(背骨の周りの肉)や皮の裏についている脂身、頭の肉など商品にはなりづらい部位を削ぎ落してペースト状にしたものです。
中落ちは骨の周りの赤身の肉で旨味が強く、皮の裏や頭の肉は脂が乗っていて非常においしい部位ですが少量しか取れません。つまり美味しい部分をミックスしたものなので、おいしくないわけがありません。
しかし、そんな希少な材料を使っていては、大量に安価に出回ることはあり得ません。もともとはマグロを一匹で扱う市場の食堂やお寿司屋さんの裏メニュー的な存在がネギトロです。
実は普段わたしたちがネギトロだと思って口にしているものは、本来のネギトロとは別ものです。

本マグロの背骨

安いネギトロの中身

ネギトロを中落ちなどから作るとコストと手間がかかります。ではネットやスーパーで売っている安いネギトロは何で作られているのでしょうか。

楽天で購入したネギトロの原材料を確認してみましょう。下記は200g2パック4,000円、お店が発行していたクーポンで送料無料3,500円で購入しました。10%ほど大間産本マグロが入ってるというのが売りの商品です。1人前100gくらいですから1人前875円です。ネットでよく売れているネギトロと比べると本マグロ入りのせいか、やや高めです。

楽天で「 大間本鮪使用ねぎとろ 」として販売されていたネギトロ
ラベルの品名は「 大間産本鮪入り鮪たたき 」

原材料名の最初に鮪(マグロ)と記載されています。食品の原材料名は食品表示法の表示ルールにより使っている量の多い順に記載することになっています。ネギトロなので当たり前ですが、マグロが一番最初です。マグロは一言でマグロといってもクロマグロのような高価なマグロからビンチョウマグロのように安価なマグロまでピンキリです。
マグロの主な種類と価格相場は以下の通りです。

マグロの種類と価格
種 類価 格特 徴

クロマグロ
(本マグロ)
中・大トロ 約10,000円/キロ
赤身 約8,000円/キロ
マグロの王様です。大トロ・中トロ・赤身の、すべての部位において脂がのっていて最高の味と価格です。
ミナミマグロ
(インドマグロ)
中・大トロ 約5,000円/キロ
赤身 約2,500円/キロ
クロマグロと同じく大トロを取ることができます。クロマグロより多少脂のりは落ちますが、クセがありません。

メバチマグロ約2,000円/キロスーパーで見かけるマグロの刺身はメバチマグロが一般的です。赤身で大トロはなく、中トロまで取ることができます。
キハダマグロ約2,000円/キロ淡い紅い身で脂乗りが少なくあっさりとしています。刺身以外にツナ缶の材料にも使用されます。
ビンチョウマグロ約500円/キロ白っぽい身で肉質が柔らかく、あまり刺身にはされません。ツナ缶の材料として一般的です。

安価なネギトロに使用されているマグロはメバチ・キハダ・ビンチョウのミックスされたものと思っていいでしょう。ネギトロを見て赤身が強ければメバチが多く使われていて、白っぽい部分が多ければマグロの中でも一番安価なビンチョウが多く使われていると推測できます。

鮪(マグロ)の次に原材料には食用植物油脂と記載があります。植物油脂は植物から採取した油脂の総称です。具体例をあげるとサラダ油やオリーブオイルなどの植物油、さらにマーガリンやショートニングなど植物油の加工品を植物油脂と呼ぶこともありますが、続く原材料名に食用精製加工油脂と別途記載されているので、これは植物油です。
安い種類のマグロは脂のりが悪いため、それだけではネギトロ特有のしっとり、ねっとりとした仕上がりにはなりません。脂を補うために油脂を添加しているのです。店によってはイワシや雑魚から抽出した魚油を使ったり、マグロの頭部や皮などを圧搾した鮪油を使っている場合もありますが少数です。
食用植物油脂の次の原材料名に本鮪とありますが、本鮪10%入りと宣伝していることから、食物油が少なくとも10%以上含まれていることがわかります。けっこうな量です。

本鮪に続いて原材料名に食用精製加工油脂とあります。食用精製加工油脂はおそらく安価なショートニングだと思います。ショートニングは世界で使用が規制されはじめているトランス脂肪酸が含まれるため、避けたい材料です。
植物性油脂と合わせて少なくとも全体の11%以上、最大で18%くらいの油脂が添加されていると推測できます。すごく多いですね。

続いて食塩です。ここで使用されている食塩は調味料の意味もありますが防腐剤代わりが主な目的でしょう。塩の浸透圧によって有害な細菌類を死滅させる効果があります。

次にPH調整剤です。食品にはそれぞれ、変色や変質、腐敗などを抑え、品質を保つための適切なPHがあります。適切なPHに保つために添加されるのがPH調整剤です。PH調整剤にはリン酸・クエン酸・コハク酸・酒石酸など様々な種類がありますが、PH調整剤として添加する場合には、一括表示が認められているため、何がどのくらい含まれているかわかりません。PH調整剤は、腸内細菌が死んでしまうなど身体に害があるとも言われているので避けたい材料ではありますが、ほとんど全ての加工品に添加されています。

 最後に酸化防止剤(V.C、V.E)とあります。これは名前の通り酸化を防ぐ目的でビタミンCやEが使われています。ネギトロは油分が多く酸化しやすいため、酸化防止剤が多めに入ってる可能性は否めません。酸化防止剤として入っているビタミンは科学的に合成されたものか、天然由来のものか、この表示からはわかりません。

ピンクっぽい身が多いのでキハダマグロの割合が多い

ネギトロの添加物について

楽天で販売されていたネギトロの原材料を前項で説明しましたが、使用していた材料はスーパーやネットで売っているネギトロとしては一般的なものばかりでした。
ネギトロの添加物で特徴的なのは油脂が大量に含まれている点です。ネギトロのレシピは簡単で単価の安いお腹の赤身部分を小さめに切って叩いて混ぜるだけです。ただしメバチやキハダを使うとネギトロ特有のしっとりした状態にはならず、時間が経つとすぐに固くなってしまいます。
そこで使用するのが油脂です。マグロから抽出した鮪油を使用するのが風味的にも好ましいのですが、コストを抑えるために植物油が使用されています。さらに食感をよくするために加工油脂を入れています。加工油脂はおそらくショートニングですがトランス脂肪酸がしばしば問題になります。トランス脂肪酸が多く含まれるものもあれば、抑えられているものもあり、どんなものが使用されているのか具体的に表示されていないのでわかりません。

PH調整剤や酸化防止剤は、加工品に使用されていないものはないくらい入っているお馴染みの材料です。一括表示が認められているため、何がどのくらい含まれているか分からないのは怖いですね。

料理の好きな方ならメバチマグロやキハダマグロのブロックから添加物控え目な自分好みのネギトロを作ることは難しくありません。スーパーの特売なら100g150円くらいになることが多いので1人前200円以下で作ることが可能です。
ネットやスーパーで売っているネギトロは端肉なども混ぜて使ってるでしょうから、原価はさらに安いと推測できます。

ネギトロにネギは必要?

ネギトロにネギをトッピングしたり、混ぜてあるのをよく見かけます。ネギトロだからネギがあるのは当然と思われがちですが、実はネギトロは「葱」と「トロ」のことではありません。中骨や皮際の身や脂をスプーンなどでねぎ取って作ることからネギトロと呼ばれているのです。葱とトロを使っているわけではありません。

とはいうものの、さっぱりした葱はこってりとしたネギトロのトッピングによく合いますね。

ネギトロには葱が定番

まとめ

ネットやスーパーで販売されている安いネギトロについて考察してみました。
安いネギトロは、ネギトロもどきです。それを作っている側もわかっているのか、ラベルなど正式な商品名の欄には「マグロの叩き身」と書かれている商品が意外とあります。今回、検証した楽天で買ったネギトロもそうでした。

本来のネギトロはヘルシーな食べ物で、こってりとしていますが、サプリなどでお馴染みのEPA、DHAをはじめ、ビタミン豊富な健康によい油が含まれています。しかし安いネギトロの油は添加されたものなので、大量に食べるのは避けたほうが良いかもしれません。

原材料を知ってしまうと、なんとなく油を食べているみたいな気持ちになるのが残念です。

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